会社の健康診断で「血圧が高め」といわれたことはありませんか?タクシー乗務員さんは長時間勤務と深夜の運転も行うため、日々の健康管理はとても大切になってきます。また、運転中は普段よりも血圧が10〜20mmHg上がり、走行速度を上げるとさらに血圧が上がるといわれています。(※1) これからも元気に運転を続けるために、今回はタクシー乗務員の方がなりやすい高血圧の原因とその対策についてまとめました。ぜひご覧ください!
高血圧はどうしていけないのか?
高血圧とは血管が張り詰めた状態で弾力がなく、硬くなっている状態を指します。日本高血圧学会では、診察室での最大血圧が140mmHg以上、または最小血圧が90mmHg以上の場合を高血圧と診断するそうです。
高血圧の怖いところは今は無症状でも、あるとき急に出血が起こり、まひやしびれ、ろれつが回らない、言葉が出ない、ふらふらする、視野が欠けるなどの症状が出ることです。無症状のときはついつい現状を知っていてもそのままにしがちですが、体の中では少しずつ血管に負荷がかかっています。全身に血液を送り出す心臓が肥大する現象もその一つです。
そこでここからはもしものことが起こる前に、できる高血圧対策についてご紹介しますね。
高血圧の対策5つ
①塩分をとりすぎない
高血圧のときは、塩分をとりすぎていないかがよくチェックされますね。タクシー乗務員の方は外で食事をすることも多いかもしれません。外食ではできあがった料理をいただくので、自炊よりも塩分の調節は難しくなりますが、麺類のスープはできるだけ残す、塩気のある調味料を追加でかけるなど、できるだけ塩分を控えましょう。
自炊する方は、下記の減塩方法もおすすめです。
・かつお節などのだしを効かせてしょうゆの量を減らす
・みそ汁を具だくさんにする
・酢やケチャップ、マヨネーズなど塩分の少ない調味料を活用する
・こしょうや七味、しょうが、ゆずなどかんきつ系の酸味を加える
・調味料は「かける」より「つけて」食べる
・減塩調味料を使ってみるなど
②飲酒習慣を見直す
長期間の飲酒を続けていると血圧の上昇とともに、脳卒中や心臓病、肝臓病になるリスクが上がります。また、年齢に応じて酔いやすくもなるので、そのあたりも考慮しながら1日に飲む量を決められるといいですね。下記の目安量もぜひ参考にしてみてください!
一日の飲酒量の目安
・缶ビール500ml 1つまで
・日本酒1合 180mlまで
・ウイスキーダブル 1杯 60mlまで
・焼酎25度 1/2合 100mlまで
・グラスワイン2杯 200mlまで
・酎ハイ7% 1缶 350mlまで
※2種類を組み合わせて飲むときは半量が目安量です。
お酒を薄めに調節する、自宅にお酒をストックしすぎない(飲む分だけ買うなど)のもいいですね。慣れてきたら飲む曜日を決める、ノンアルコール飲料にしてみるなど、アルコールをとり過ぎない方法を自分で探してみましょう!
また、お酒といえばおつまみも欠かせませんよね。その選び方も高血圧の予防につながります。例えば、野菜や果物に含まれるカリウムは塩分(ナトリウム)を体の外に出す働きがあるので、野菜サラダや素材の味を活かしたおつまみと合わせてもいいですね。オレンジやキウイフルーツのフルーツもカリウムを多く含むのでおすすめです。
③肥満傾向を改善する
一見関連がなさそうな「肥満」と「高血圧」。実は脂肪細胞から出される物質によって自律神経やホルモンの働きが乱れ、血管の収縮や体の中に塩分がたまることで血圧が上昇します。BMI=25以上、腹囲が男性85cm以上、女性90cm以上の方は体重の減少とともに血圧が下がることも多いです。満腹の食事よりもまずは腹8分目、または散歩などの軽い運動から始めてみませんか?
また、減量する際は極端な食事制限は避けて、1か月に1~2kgくらいのペースを守って行いましょう。
④喫煙をやめる
たばこに含まれるニコチンは血圧や心拍数を上げて、将来的には動脈硬化や心臓の肥大化、虚血性心疾患を引き起こすリスクがあります。特にタクシー乗務員の方は脳血管疾患など心疾患に起因した仕事中の事故が多く(※2)、今から禁煙に向けて取り組むことは仕事の継続や自分の体を守ることにもつながります。禁煙する難しさはあると思いますが、ぜひこの機会に喫煙習慣について見直してみてはいかがでしょうか。
⑤休養をしっかりとる
タクシー乗務中は、接客によるストレスや運転の疲れも出てきますよね。仕事中にさまざまな刺激を感じると、体がそれに対応しようとして交感神経が活発になり、血圧が上がります。不規則な勤務形態のなかで大変だと思いますが、可能な限り自分の体を労わりながら帰宅後は早く寝る、疲れたら10分でも仮眠をとるなど、休養がこまめにとれる体制を作りましょう!
高血圧の原因
最後に、高血圧症はいくつかの原因が重なって起こることが多い疾病です。体質や遺伝、喫煙や食生活、ストレス、肥満、お酒の飲みすぎ、運動不足、加齢による血管の老化など、高血圧を引き起こす要因もさまざまです。
高血圧症の約9割は原因がわからないと言われますが、毎日の習慣や生活、自分の体質などを振り返ることで血圧を下げるヒントやポイントを見つけやすくなりますよ。かかりつけ医や内科、循環器科を一度受診してみるのもいいかもしれません。
高血圧の原因を知って対策しよう!
今回は高血圧の原因やその対策についてご紹介しました。高血圧になる要因は人それぞれですが、当てはまりそうな要因を知っておくと対策も立てやすくなりますよ。これまで高めの血圧をそのままにしていた方も、この機会に一度見直してみてはいかがでしょうか?
参考:
(※1)Ⅳ.タクシー運転者の健康に関する問題より
(※2)Ⅲ.タクシー運転者の健康起因事故の実態より
https://www.jstage.jst.go.jp/article/isljsl/89/1/89_12/_pdf
いかがだったでしょうか?
今回は高血圧について解説をしてもらいました。
サイレントキラーといわれる高血圧は自覚症状がないので軽視しがちです。常日頃から気を付けていきたいですね。